少し悩めば、その答えは実に単純に見つかった。
史実の中に紛れたようやく思い出した答えに、愕然とする。
「あ…」
そしてそれを裏付けるかのように、沖田さんが握りしめていた私の着物の袖口に血が付いていた。戦闘中に付いたのかもしれないし、どこかで擦っただけかもしれない。これが沖田さんの血という確信はないけれど、でも、きっとそうなんだろう。
発作が起きたときの沖田さんの妙に落ち着いた態度も、もうすでに何度か発作が起きているからというのなら納得がいく。
「…」
私の視線に気づいた沖田さんが、口パクで言葉を伝える。読唇術は心得ていないから、少し分かりづらかったけれど、先ほどのやり取りを考えればすぐ分かる。
さっきのことは、ないみつに。
首を縦に振れば、沖田さんは満足げな表情をして、また幹部たちとの会話の中へ戻っていく。
幹部の人たちは、誰も気づいていないのだろうか。知らないのだろうか。沖田さんのことを。彼の一生を左右する、その病。現代では既に治療薬も開発され、不治の病ではなくなった、それ。
「結核…」
私は大した医学の知識は当然もっていない。先ほどの沖田さんの症状から、今の段階の病状を推測なんてできない。強いて言うなら、喀血があっても、あれだけ動けるなら、まだ時間はある、ということだろうか。