土方さんの部屋を出て、自室へ向かえば部屋の前の廊下で沖田さんがごろり、と寝転がっていた。

「…沖田さんの言うとおりでした」
「やっぱりね。人手が足りない。でも、絶対に成功させなくてはならない。土方さんは合理主義だから」

『土方さんは絶対、君を隊士として使うと思うよ』

 まさか、とは思っていたけど、本当に私を使おうと思うなんて。

「よく分かりましたね」
「付き合い長いから」

 よ、と声を上げながら沖田さんは上体を起こして、図々しくずかずかと人の部屋に入っていく。

「勝手に入らないで下さいよ」
「君が来るのを待ってただけマシでしょ。お団子買ってきた」

 目の前に差し出された包みからは、甘い香りが漂う。

「…お茶くらいなら、淹れてあげましょう」

 お菓子で絆されるくらいには、私は気が抜けてきているらしい。