沖田さんに連れられて歩く京の街並み。道行く人は着物の人ばかり。こうしてみると、本当に江戸時代に来てしまったんだな、と改めて思う。電気も水道もない時代。不便すぎてイライラすることも多いけど、意外と私は順応していると思う。新撰組になんか居なかったら、もっと楽だったに違いない。
 沖田さんは、通りすぎていく子どもたちに総司にいちゃん、と声をかけられて微笑む。とてもじゃないが、あの日私に刀を向けた人間と同じと思えない。

 どこへ行くのか尋ねても、無言を貫く沖田さんの後ろをついて歩き続けると、茶店の前で沖田さんの足が止まった。

「土方さんには内緒にしといてね」

 稽古をサボって来たらしい沖田さんは、いけしゃあしゃあと店内に入り腰を下ろし、店員にお茶を注文する。
 しばらくして、熱いお茶と、沖田さんにはうどん、私にはおはぎが運ばれてきた。

「お昼食べたじゃないですか」
「ちょっとそのあと子どもと遊んでたらお腹空いちゃってさ」
「ロリコン…?」
「ろり?」
「…なんでもないです」

 もくもくをおはぎを食べ続けていたら、何時の間にかうどんを食べ終わった沖田さんが、お茶を飲んで一息ついていた。

「手は大丈夫?」
「あ…はい。痛みもありませんし」

 最後の一口を飲み込んで、少し温くなったお茶に口を付ける。それにしても、ここのおはぎはおいしかった。また、なんてあるのかも分からないけど、機会があればまた来たい。