あてもなく、闇雲に歩いてどれくらい立っただろうか。
ふと違いの感触が変わり、身体にまとわりつくような竹の葉が離れていった。
朽ちた葉ばかりの地面と違い、人の足で踏みしめられたような、固い地面。そして立ち並ぶ、随分と古風な家屋。
「なに、ここ…?
家屋の入口に掛けられているのは風に吹かれる提灯。ガラスの埋め込まれていない格子の窓。
「一体何時代なの、これ」
とりあえず、と歩き進めてみれば、映画のセットのような広大さだった。
やけに曲がり角が直角に多いのは、ここは京都を舞台にした場所なのかもしれない。
月明かりが照らすこの街は、一体何なのだろう。
夢でも見てるのかもしれない、と頬を抓っても痛いばかりだ。