「ごめんな?いろいろあってさ。やっとこっちに戻ってこれたんだよ。」


「そぉなんだ。」



ふと思った。



待ってたって言ったけど、本当に翔くんなんだよね…?


って。


あたしは一応聞いてみる。


顔もあんまり覚えてないし、見た目とか全然違うから。



「あのさ、本当にあたしの待ってた翔くんなんだよね?」



あたしは抱きしめられたまま翔くんに聞いた。


すると、翔くんのあたしを抱きしめてる力が強くなった。



ちょっと苦しい。


翔くんどうしたんだろ?



「翔くん?」



あたしは不安になって翔くんの名前を呼んだ。



「疑ってるの?オレのこと。」



翔くんの顔は見えなかったけど、さみしそうな声だった。


そんな翔くんの質問に少しあせる。



たしかにさっきは疑って聞いたのかもしれない。


でも今思うと、あたしがずっと待ってた翔くんだっていう確信が欲しかったんだと思う。



だからあたしは疑っていることを否定した。



「そ、そんなわけないじゃんか!ずっとずっと待ってたんだもん!」



思わず大声を出してしまった。



「上野、うるさいぞー。桐原も早く席着けー。」



あたしが大声を出したからブーちゃんが気づいて、注意された。


あたしも翔くんも素直に返事をする。



「すいませーん。」


「はぁーい。」



返事はしたものの、翔くんがあたしを離す気配はない。



「翔くん。次の授業サボって話そうよ。」



あたしは翔くんの耳元でコソッと呟いた。