ふん、と得意げに胸を反らす私の肩に、コテリとシャープな顎を置いて、彼は一言。
「なーんだ、がっかり」
ちぇっと唇をとんがらせて不貞腐れた顔をする。
不満の意思表示のつもりなのか、私の肩にかかる髪を指でクルクルとしてくる。
それはそれで別に構わないのだが、「んー髪伸びたねえー」正直彼がなにか喋るそのたびに、ガクガクと顎が動きそれが直に肩に食い込んでくるので、ちょっぴり痛い。地味に痛い。
それから悪戯だか仕返しだかしらないが、ふうっと耳に息を吹きかけるのはやめてくれ。手元が狂う。
「あーあ。俺、料理に失敗したっていう口実で、いろいろとサービスしてもらう予定だったんだけどなあー。
……ねえ、今からでも失敗しない?」
ちろっとご主人様のご機嫌を窺うワンコみたいに上目遣い。
可愛いものにめっぽう弱い私はうっと言葉を詰まらせた。