「私は、貴女からの愛が欲しいのです」
脳内でもくもくと逡巡していれば、こっちを見ろとばかりに、微かに力を込めた手に腕を引かれる。
ゆっくりと視線を彼に合わせると彼は満足気に目を細め、両手で大事に握りこんでいたあたしの右手を、ゆったりと持ち上げ自らの滑らかな頬に押し付けた。
何度か触れたことのある彼の肌は、今日も陶磁器のように真っ白で色味がない。
閉じられた瞼、その縁にびっしりと生えそろった睫毛は恍惚にふるふると震えていた。
「私は貴女にこんなにも尽くしているのに、何故でしょう。貴女はこの手を握り返してもくれない」
言いながら、彼は赤ん坊がするようにあたしの指に頬ずりをする。
そして。