ここはあくまでもクールにね。冷静に対処しようじゃないか。

ンン! と小さく咳払いをして、もごもごと口を開く。



「……ばか、今日のためにわざわざ予行演習までしてきたんだから失敗するわけないじゃない。そこらへんは私抜かり無いんだから」



見てみなさいよ、と私は盛り付けがされた食器を指さした。

顔の赤さは自覚している。もういい。なにも言うな。


…まあ、指をさしてみたところで、そこにあるのは当たり障りのない具材で作った付け合せの茹で野菜と、ゴロゴロっとした食感を重視したこれといってなんの変哲もないポテトサラダなんですがね。


……こらそこ、そんなの誰でも作れるじゃんとか言わないの。

料理できないやらないの万年干物オンナが腕によりをかけて作ったんだから。


まったく、この域に達するまで私が一体何個のジャガイモ様やニンジン様々をゴミ箱に葬ってきたと思ってんの。

私の努力、なめてくれるなよ?

それに味覚がお子様の彼はポテトサラダがだいすきなんだから。


決して間違った選択なんてしていないのだ、わたしは。

大丈夫、大丈夫。

なにが大丈夫なのかはわからないけれど、大丈夫だろう。大丈夫なはずだ。