──ほれ見ろ、こんなに冷えてる」



向こう見ずなあたしを諌める唇が、ちゅうっと耳朶をかすめれば。

なにかのスイッチが切り替わったみたいに、あたしはこれから起こることに不安と期待とを抱き、さながら電池が切れた玩具のように動き出せない。



「しゃーないから、おっさんが温めてやるよ」



囁く吐息は、身を焦がすくらいに、熱い。