なんとなく身の置き所がない照れくささを感じ、あたしは少し顔をうつむき加減にして彼の根城へと足を踏み入れる。
──そうしてパタン、と玄関の扉が閉まった瞬間。
待ち構えていたかのように甘ったるい獰猛な視線があたしを貫いて。
胸焼けがしそうな甘ったるい声であたしの名前を呼ぶ。
それだけで息の根が止まりそうなくらい胸が苦しくなるあたしは、所謂ノミの心臓というやつなのかもしれない。
「まったく、女の子なんだから身体を冷やすもんじゃねぇよ。
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