貴方のためならあたし、ワンともニャアとも鳴けるのよ。
冗談抜きで、それくらい骨抜きにされている。
嘘じゃない。嘘なんかじゃ、ない。ほんとうだよ。
「素直で結構、結構。可愛いなぁ、お嬢さん」
従順なあたしに満足げに笑みをこぼすと、スッとさりげなく背中に片腕を回してくる。
直接布地を通して伝わる体温と、ゴツゴツと骨ばった存在感。
逃げるつもりなんて端からないのに、どうしてこのひとはわざわざあたしの逃げ道を塞ぐような真似をするのだろう。
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