商店街の駐車場もない場所。 そこにその店はあった。 「ここが…」 商店街にはおよそ不似合いの西洋風の小さな店。 一階建ての屋根から壁にかけて、バラの蔓がはうように伸び、誰も住んでいないような気がしてくる。 「こんにちは。 笹塚美華さまでございますね。 お待ちしておりました」 後ろから声をかけたのは20代なかばくらいの男性だった。