高瀬さんは先に帰ると言ってその場からいなくなってしまった。



私達は会話をする事なく、ひと気のない校舎裏に移動した。



「あの・・・」

なかなか話し出さない西野に声をかけると
意を決したように顔を上げた。






「好きなんだ」












時間が止まった気がした。

二人の間を吹き抜ける風は冷たいはずなのに
全く寒さを感じない。


「傷つけたよな、いっぱい。ーーーでも、あの電話は本心じゃなかった。彼女のことも、好きで付き合ってたんじゃない」


次から次へと零れる西野の言葉を
一つ一つ呑み込むことがやっとだ。