「すみません。・・・怯えてるんで、やめてもらえます?」



すると男は俺を見てふっと笑う。

「彼氏?・・・あぁそう。君の所にいるんだね。」


その瞬間、初めて和音が顔をあげる。
俺のシャツを掴み、俺の目を見て必死に何かを訴えた。

「ち・・・がう、この人は関係ない!」



「———そう。安心してよ、何かするとでも思ってるの?—————伯父さん、ね。正月には帰ってくると思うよ。」


案外あっさりとそう言うと、にっこり笑って一歩下がった。


「和音ちゃん?僕だってね、君と話したいんだよ。———一度だってちゃんと話してないじゃないか。」


「・・・え?」

「まぁ、次会うのは正月・・・かな。」

そう言うと、男は直ぐに店から出て行った。