「和音ちゃん?」
そう呼び止められ
振り向いた和音は、固まったように目を見開き
途端に青ざめていった。
俺よりも歳上であろうその男は、ゆっくりと和音に近づく。
「久しぶりだね。———今、何処にいるの?」
それを聞いて、その男が和音の家に住み着いている奴だという事がすぐに分かった。
柔らかく発している様にも聴こえるその男の台詞は
酷く冷めていた。
和音は震える口をゆっくりと動かす。
「———伯父さんはいつ帰ってくるの?」
「—————僕が質問してるんだけど
。」
冷めた目を一層歪めると
男は一歩進み、和音との距離を更に縮めた。
益々動けないのか
和音はビクッと肩を震わせる。
居てもたっても居られず、二人の間に割り込んだ。