かなりあに用意されたお部屋は、昔ご主人様の家にいた時とそっくりでした。

そんなかなりあのお部屋の前に白いネコがやって来ました。

飛べないかなりあは食べられては大変と必死でお部屋の中で暴れます。

「心配しなくても食べないよ、じゅーちゃんがダメって言ったからね」

ネコはそう言って前足で顔を撫でました。

「かなりあさんはじゅーちゃんに助けてもらったお礼を言ったの?」

ネコに聞かれて、かなりあは答えるかわりに首を振ります。


前は嬉しい時も、悲しい時も、どんな時だって心の底から鳴いていたのに…。


かなりあの声はまだ戻らないままでした。