「勉強中にこんな長い髪を視界に入れるなよ…」
「ご、ごめんね…?」

ショックを受けているのは丸わかりだ。

傷つけてしまった事も、わかっているけど…反省しながらも先生を逃したくない。少しでも先生の視界に俺が移って欲しい…。


少しずつ欲がコップから溢れる水のように、先生を逃さないように懸命になる。


…もしかしたら、先生にはすでに恋人がいるかもしれない…。好きな人がいるのかもしれない…。けど、俺の中に芽吹いた先生への想いは誰も摘み取れない。

そんな事を考えていると先生は、自分のカバンからゴムを取り出して、髪をくくる。


毛先がユラユラと左右に揺れ、俺の先生への思いも同じように揺れる。


「じゃ、答え合わせするね?」

先生の言葉に、ボゥと見つめていた俺は我に返る。
何を考えて痛んだ俺は…。


俺は…髪で隠れていた白い首筋が目の当たりになり、俺の男としての理性を試されているように感じた。



自分で言ったのにもかかわらず、自分の首を絞める結果となってしまった。