「えっと…名前が佐田葵ちゃんですね?」



は?


ものすっげー嫌な言葉が聞こえたぞ…。

自慢したかないけど、生まれて16年、ほとんど男と見られた事がない。
隣では母さんが大爆笑してる。俺は面白くなくって、目を細めて怒りを飲み込もうとする。


けれど、怒りが表に出たからか…『神田先生』はビクリと肩を震わせて固まった。…ヤベ、怖がらせたかな?






初日は簡単な話しで終わった。
彼女が帰っていく後姿を部屋の窓からジッと眺める。


「葵。先に言っておくわよ? 好みのタイプだろーが、授業は授業よ! 先生に手を出したらどうなるかわかってるわね…?」

「どわッ!!」

いつの間にか入ってきた母さんに、俺は驚いた。