「葵君。わかってくれた?」

「……ん…」

彼って普段から無口なのね。
…まぁ、私もたいてい無口だけどね。


○×を書き終えた所に部屋のノック音が響き渡る。

「…何?」

「神田先生。コーヒーの方がよかったかしら? それともお紅茶の方が…?」


「あ、お構いなくッ! 気にしないで下さい」
「いえいえ。この子の面倒まで見て下さってますから…」
「で、でも…」


「…ぅっさいなぁ。母さん…とっとと、出て行けよ! あんたも何か注文言えばいいだろ!!」


突然、怒鳴られてしまい、私はビクリと体を硬直させてしまう。

美少年…葵君のキレイな顔がヒドく歪んでいる…。


「ご、ごめんなさい…。ぁ、の…じゃぁ、紅茶で……」


「はい。…葵! 何先生に怒鳴っているのよ!? 小さな子供じゃあるまいし!」

お母さんに怒られたにもかかわらず、葵君は知らん顔して机に向かってる…。お母さんにそんな態度って…。