お父さんちに、着いた。

(正確には、住所を見せて竹内さんに連れてきてもらった。)

お父さんには、華恵さんという名前のキレイな奥さんと5歳になる息子のりょうたくんという家族がいる。

「ばんび~、大きくなったね!・・・いや、そうでもないかワハハ」

「あなた、それを言うなら大人っぽくなったねでしょ?ばんびちゃんもう高校生なんだから、ねえ?」

「ばんびおねーちゃん、いっしょにお風呂はいろ」

華恵さんもりょうたくんも、私が来るのを楽しみにしていてくれる。

いい家族だ。

そうそう、忘れるところだった!

私は携帯電話で撮った動画を、お父さんに見せた。お母さんに頼まれていたヤツだ。

「これ、お母さんから暑中見舞いだそうです」

携帯電話の画面の中を、ペンギンの着ぐるみを着たお母さんが所狭しと踊りながら

「公平さーん、ばんびをよろしくお願いしまーす」

などと歌っている動画だった。

・・・うちのお母さんって、相当変わってる。

私はそう思ったけれど、お父さんはなぜか切なそうな顔になって

「・・・変わってないな、桜子は」

そうつぶやいた。