「刺客」という言葉が妙に気になるところだけど、これ以上遅くなるとお父さんが心配するから、話の続きはお父さんちですることにした。

「ばんびの友達なら、連れておいで」

お父さんが、そう言ってくれたのだ。

友達・・・ってわけでもないんだけど・・・。

「じゃ、割り勘でね」

私が小銭を出すと、竹内さんは首をかしげる。

「割り勘って何」

私も首をかしげた。

竹内さん、割り勘を知らないの?

高校生にもなれば、「割り勘」は日常的な生活用語だと思っていたのだけれど。

あ!それとも今の竹内さんの質問ってもしかして

「割り勘って何だよ!ポテト食べたいって言ったのはあんたでしょ?そりゃ私も、ちょっといやしっかり半分くらいは食べたけどさ。とにかくあんたが払って!」

という意味なのかも!とちょっと思ってドッキリしたけれど、竹内さんの目にはこないだのような鋭さはないから違うみたいだ。

「えと、『割り勘』とはみんなで色々頼んで食べたりしたときに、合計金額を人数で割った金額を出し合うという、非常に公平かつ民主的なシステムなのですが・・・」

私が恐る恐るそう答えると、竹内さんは

「ほう、そうなのか」

感じ入ったような声を出すと、財布からカードを出した。

「じゃ、これで」