1学期最後のホームルームが終わっても、みんなはなかなか帰ろうとしなかった。
補習が明けた来週の日曜に、みんなで海に行こうという話で、由奈を中心に盛り上がっている。
私には、関係のない話だ。
これでやっと、長かった1学期が終わる。
通り過ぎようとしたときだった。
「ねえ、ばんびちゃん」
由奈が、話しかけてきた。
本当に久しぶりだったので、思わず立ち止まってしまった。
今のは何、空耳?
由奈は私のほうを見て、微笑んでいる。
由奈の隣にいたぶーちゃんの表情が曇った。
「一緒に行く?海」
取り巻きの男子が、露骨に嫌な顔をした。
「え~!よせよ、飯野」
「あいつの水着なんて見たら、俺吐くわ」
「部外者はさっさと帰って、牛乳でも飲んでなさい」
私は笑って答えた。
「行かない!だって今年は、美白にかけるんだもん!」