「よしよし~」

門脇先生が、立ち上がって私を抱きしめてくれた。

「大丈夫ですよお。話してくださーい」

及川先生は担任だけど、話せなかった。

及川先生は部を守るために、私に部をやめるようにと言った先生だ。

クラスや学校を守るために、今度は私に何をやめろと言ってくるか。

簡単に想像できたから。

お母さんにも、浩二おじちゃんにも話せなかった。

心配かけるから。

私が楽しく高校生活を送ってるって思ってほしかったから。

だけど、門脇先生なら大丈夫。

根拠はないけど、そんな気がした。

私はやっと、お母さんとの約束その2を果たすことができた。