私は、ほどきかけたお弁当の巾着のひもを、そっと結びなおす。

この状況を楽しいことに変える魔法の言葉なんて、今度こそ思い当たらなかった。

いや、思いついた言葉はあったけれど。

「はぁ、なんだか見晴らしが良くなった」

とか。


「今日のお弁当手抜きだから、見られなくて助かった」

とか。

どれも嘘だ。

ぶーちゃんがいなくなって良くなることなんて、一つもない。

由奈たちが、アハハとわざとらしく高笑いを上げていた。

勝ち誇ったような笑いだった。

私は、もう笑えない。

笑えたとしても、その笑顔を誰に見せるの?友達が一人もいなくなったのに。

いたたまれなくなって、私は教室を飛び出した。