パッとユタヤがナンパ男から手を放すと、もう一人の男の側にフラついた足で駆け寄った。



私がユタヤの腰に回した手に、
ユタヤの手が置かれた。


「行こっか。」


そういって、私の手をゆっくり解いた。


私と恵に笑顔を向けると、
私達を守る様に自分の前を歩かせて、道路の反対車線に止まる車に向かう。



その瞬間…


ハァ!!勢い良く息を吸った音が、私の耳まで届いた。


私は、息音の方に振返った。


さっきまで顔をクチャクチャにして痛がっていた男が、

助走を掛ける様に走り、顔の高さに挙げられた右手が拳を握った。



「ユタヤ!!」


私は思わず声を出し私は口元を両手で覆った。



ユタヤに拳が当たる瞬間。