瞼を開けると、男の人の足。


見上げるとユタヤが私の前に立っている。


「イタッイタタタタ…」


痛がるナンパ男の声なんか、耳に入らない。


ユタヤ、こんな所で何してんの?


「何で居るの?」


「俺も旅行行きたくなった。」


へ???


「一人で来たの?」


「んにゃ?アイツと。」


顔を動かして示した先には、一志クン!!


私が立ち上がると、既に恵が一志クンを見つけていた。
ユタヤの車の運転席の窓から、一志クンは大きく手を振っている。



「痛ぇ…は、放せ、折れる…。」


そして、私はやっとナンパ男の辛そうな声に気が付いた。