「そうせかすでない。理由は二つじゃ」



「二つ?」



「一つは、ルナのことじゃ。あの子は、右手を見る限り、アランに選ばれた魔女。恐らく、彼女の力を、リュオンは欲するじゃろう。そのときにあの子を助けてやれるのは、同じ神器ノ者のカナテだけじゃ。何でも、ルナは伝説の子。世界を変えようとするリュオンにとっては絶対に手に入れたい人材じゃ。遅かれ早かれ、カナテもそれに気付く。だから二人に警告するのじゃよ」




 長い話というのは、非常に疲れる。リアム老はまた、溜息を吐いた。





「もう一つも似たようなものでの。リュオンに滅ぼされた一族の中で、生存者がいるのは四つじゃ。ギリシア、パロ、ローマ、そしてロンド。いずれも共通点があっての。どの一族の生存者も神器ノ者のみなのじゃよ。おっと、ゲルブは例外じゃがの。ギリシアはルナ、パロはカナテ、ロンドはスイレン。いずれにしろ、この三人以外は全員殺されておる。つまりじゃ。ローマにもいた筈なのじゃよ。玄武が。というより、絶対におったのじゃ。だから、同じ一族で唯一生き延びたゲルブに聞くのじゃ。非魔法使いの村にいた玄武はどうなったのかを。そして、彼は何者だったのかを」