「麒麟、朱雀、青龍、白虎、玄武だろう?それくらい知ってるよ」

「客人の内、二人はその五獣の器—つまり神器ノ者(かんだからのもの)じゃ」

「え?」




 彼女が立ち止まる。



「ルナというチョーカーの子は朱雀、髪が変色したのを見ると、カナテは白虎じゃ」

「カナテって子は銀髪になったからわかったけど」彼女は言い、話の先を促す。「他の三体は?」

「リュオンという闇の魔法使いでパロの元国王が麒麟、まだ、玄武の消息は掴めておれぬが、客人の内のゲルブという少年の村に住んでおった」




 リアム老は声を潜めた。



「青龍は?」


「三年前、ロンドの小さな一族が一夜にして滅んだのじゃ。リュオンに惨殺されてのぅ。じゃが、一人だけ無傷で生き残ったそうじゃ」