「椿紗ー、右行って」
「らじゃ」
たまたま見つけてしまった指名手配犯を私と陽向が追いかけ始めて早15分。
はさみ打ちをしようと二手に別れた。
「くっそ、何気に足速いじゃんか」
『椿紗、女の子なんだから言葉使い気をつけなさい』
「へいへい」
小型マイクで通信をしていた有紀さんに言葉使いを注意されるのもなれたもんだ。
ぶつくさ文句を呟くものの、目の前を走る犯人がスピードを落とすわけでもなく、私の体力を限界に近づいてきた。
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