「何やってんの。食パンくわえて。」


ふと、横からした愛しい声は間違えるはずがない。



菊池 拓海。


昨日私が振られた相手。



「はふひ…。」


「食べながら、喋んな。」



馬鹿にしたような声は笑みを含んでいた。



一番会いたくない相手に会ってしまった。


「ゴクン。…拓海、おはよ。」



平常心を保て…


私、笑うんだ。



「ああ…てか、お前口の横ジャムついてる。」


「へ!?」



「ん…甘いな。」



私のジャムを指で拭って舐めた。