教科書に目を向けるたび僕の肘に触れる 彼女の肘。 「あ・・・」 と小さく呟き、 申し訳なさそうに僕から距離を置く。 緊張しているのかキュッと結んだ唇が見えた。 「平野、一人で見なよ。」 正直、 古典の授業でめんどくさかったから 見なくても良かった。 彼女は僕の言葉に初め戸惑っていたけど 小さく、 「ありがと。」と言った。 彼女との机の距離は元通りになったけど、 ホッとしている自分がいた。