「そうね」
「なんで死んでしまったの?」
「さぁね」
「いつ死んでしまったの?」
「そうね…」
「どんな人だったの?」
「そうね…」
ちょっとの沈黙の後、陽菜がまた聞いた。
「ママはその人の事が大好きだったの?」
「えぇ」
また車内が沈黙に包まれる。
陽菜も、質問を止めて静かになった。
私がちゃんとした答えを返さないから拗ねたのだ。
「陽菜?」
「何」
「陽菜は、ゆなちゃんが大親友なの?」
「そうだよ!」
「ゆなちゃんのどこが好き?」
「うーん」
陽菜は少し考えてから
「鉛筆貸してくれたとこ!」
そう笑った。
「ふふ、そうなんだ。ママのね大親友の名前は美羽って言うんだけど、ママはこの子が消しゴムを貸してくれたとこが好きだった」