「…………」
『…あのね、』
何も答えない俺の正面に周り
両手を握り、俯きながら話す灯。
その両手は、ふるえていた。
『あたし、嫌だった。』
「…?」
『毎日会いに行くと、知らない女の子がいるの嫌だった!』
「!」
それは、初めて聞く灯の本音。
『私の彼氏だもん。私の倉橋君だもん。私が簡単にできないことを、やらないで…。』
「…お前、」
『倉橋君も酷いよ。私が彼女なのに…。頭を撫でないで、抱き締められたら拒絶してよ、キスなら私がいるじゃん。』
手だけではなく体までふるえている。
いったいこんな小さな体で
灯はどれだけのことを
どれほどのものを我慢してきたんだろ。
ただ俺のプライドのために。
『私が、倉橋君の1番だもん。』
俺の目を見て、しっかり伝えた。