君と出会ったのは、夏
"隼人だよ。
こちら心夏cだよ。"
"こ、こんにちは…"
"ども…"
よそよそしく
素っ気ない挨拶が
うち達の最初の会話。
"隼人"って紹介された
君の名前を聞く間も
なく
寝起きの無愛想な態度
君は余りにも無愛想で
掴みどころがない。
何か怒ってたのかな?
とか
どんな人なんだろう?
とか
そんなことを
とりとめとなく考えた
(次に会うときは
笑ってくれたらいいな)
お互いのことを
沢山、沢山教え合った
隼人はうちより
1つ年上で
同じ学校にいること。
そして二軒屋に
住んでいること。
うちと同じ県に
いること。
隼人はうちのプリを
欲しがったから
うちは友達とのプリを
添付した。
"可愛いね"
お世辞だと思ったから
別に嬉しくはなかった。
"隼人もプリ送ってよ"
"ごめん。写真映り
悪いから"
"そっか〜"
うちはこの時
隼人のこと
そんなに好きでは
なかった。
だからかプリのことは
全く気にしなかった。
そう。うちはあまり
隼人のことを
好きではなかった。
確かに声には
惹かれたけど…
ただ、毎日何かを
報告しあえる人が
出来たから嬉しいだけ
それ以上は考えて
なかったの。
そんなうちが
人にを好かれたいって
思う訳もなく
増えていく腕の傷痕。
加速する自分が嫌い。
胸に広がる罪悪感。
苦しんでいるのに
うちはうちを
止めることが
出来なかった。
誰にも相談出来ずに
毎晩血を流していた。
でもね。
君のお陰なんだよ。
うちが少しだけ
前に進めたのは。
隼人からメールが来て
動揺した。
"電話しよ"って
うちは元々電話が
苦手だった。
"電話苦手だし…"
"大丈夫だって!"
"でも…"
"駄目?嫌?"
"嫌じゃないけど…"
お願いを断るのも
苦手なうちは
隼人に押し切られて
電話することになった
だけど少しだけ
期待したことがあった
それが君の存在。
それがきっかけで
隼人はどんどん
うちとの距離を
縮めようとした。
メールは寝る時以外
ほとんど休みなく来た
うちは今まで
男に言い寄られたり
好かれたりしたことが
なかったから
単純に嬉しい気持ちは
あった。
だから"いいよ"って
言ってしまったの。
隼人の"会いたい"って
メールに。