鳥の囀りが、よく響く。



窓際の椅子に座り、両手に収まりきらないほどの美しい装丁の本を読んでいた少女は、一区切り読み終えたところでそれに気づいた。


顔を上げれば、朝の陽射しが眩しく差し込んでいる。



（朝…）


そう認識してから三秒。


彼女は、勢いよく立ち上がった。


（やってしまった…っ）


勢いよくその場にうなだれた。


勿論美しい本が汚れないよう気を遣い、頭上に持ち上げながら。

十分くらいそうしてから彼女はばっと立ち上がった。
勢いのある動きに、身に纏った桃色のネグリジェの裾が舞う。


それにも構わずベッドわきにある台の上に本を下ろすと、扉でつながっている隣の部屋へと移動した。


「おはようございます、お嬢様」

「…おはよう」


彼女が部屋に入ると、中央にあるテーブルの上の花瓶に花を活けていたメイドが丁寧に頭を下げて朝の挨拶をくれた。

彼女はそれに応じつつ、部屋の中央に歩み寄る。