暗闇の中に、火が灯る。

ぽつり、と。

それは、小さくはかない、わずかな光。

だけど、めらめらと燃え盛る――まさに生気に満ちた光。
貪欲に生きようとする、光。


その光に照らされて、男の顔が浮かぶ。


炎にあてられて光る、漆黒の瞳。
日の光を知らぬような、純白の美しい肌。
血色のいい、濡れた唇。
闇中でもなお鮮やかな、銀色の髪。


美貌、の青年。


彼の細くて長い指先が火に伸びる。

頼りなさげであるにも関わらず、一心にそうあろうとするように――まさに生まれついての本能のように輝き続けるその中に。


常人ならば、直接火に手を突っ込むなどしないだろう。
火は熱いし、下手すれば火傷を負う。


だが、彼はそういったものに怯えることなく、伸ばした指先を火にさらし続けた。

そして、火――それ自体も、彼を襲うことはなかった。


彼はそうやって、火に手をさらしながら思考に耽っていた。



時がやっと一時間過ぎた頃、彼は呟いた。



「結果は、白、か」



彼は火の中から自分の指先を引き戻し、見つめる。


彼の指先に、輝くものがある。


それは、ガラスの破片。



全て、白く変色していた。