『ほのちゃん…、ぼくね』 舌足らずな子供の声が脳内に甦る。 色白で溢れちゃいそうなほど大きな瞳に長い睫。まるで女の子のような少年。 それが保育園に通っていた頃のリクだった。 泣き虫でいつも私の後ろに隠れてた。 だけど、一回だけ。 一回だけ、私が母子家庭であるということをからかわれた時、リクは相手の子に飛び掛かり、悔し涙を堪えていた私のために戦ってくれた。