リクの家は502号室。
私の家は701号室。
お別れだ。
久しぶりにあったせいか少し話し足りない気がする。
「あ、そういえば」
「ん?」
「ほの、あの男と付き合ってないんだろ?なら、何で抱き締められてたの?」
え、ああ、もう。
せっかく横山くんのこと、忘れてたのに。
「…知らないよ、そんなの」
言いながら、頬が赤くなるのを感じる。
「ふーん」
「そ、それじゃあ、また」
何だか居心地が悪くなって、慌ててエレベーターの“閉”ボタンを押す。
徐々に締まっていくドア。
慌てた顔をするリク。
「おい、ほの逃げるな」
やがて、完全にドアは締まり、リクを置いて私は上へと上がった。