リクが私を好きなわけがない。
さっきだって本気で勘違いした訳じゃない。
気を使わなくてよい、友達。というより、兄弟みたいな存在。
だからこそ、私はリクといると安心して落ち着く。
そんな存在がいるというだけで、私の心は強くいられる。
「ふふ、よかった」
「は?」
「だって、リクが私のこと好きだったら困るもん」
「…だよな」
微かにリクの声のトーンが下がったことに私は気付かない。
こうやって、私の心ない一言で人が傷付けていくことに私は、気付いていない。
どっかで誰かが言った気がする。
――鈍感こそ、最も罪深い。