「とにかく、家まで送るよ」
そう言って、私の先を歩いて行く横山くん。
「ちょ、ちょっと待って!…あ!」
慌ててあとを追いかけながら、彼が今日誕生日であることを思い出す。
「横山くん、お誕生日おめでとう」
「え…、ああ、そういえば今日、誕生日だったけ」
「まさか、自分の誕生日忘れてたの?」
「そういうわけじゃないけど…、何か今日頭が混乱してて、それどころじゃなかった」
だから、私を抱き締めたりしちゃったの?
「ありがとう。覚えてくれてたんだ、穂香」
そう優しく微笑む笑顔を見て、何だか胸がいっぱいになる。
なに、これ。
やばい、やばいよ。
本日何度目であろう、胸の高鳴り。