僕は、初めて泣いた。 彼女が死んでから、ずっと泣けなかった。 泣いたら、彼女はもう戻ってこない、と認めることになるから。 でも、もう涙は止まらなかった。 「穂香…。また、明日って言っただろ…?」 情けない僕の声がぽつりと響く。 ごめん ごめんな… ――誕生日プレゼントなんて、いらないのに。 あの日、彼女は僕の誕生日プレゼントを買おうとして、事故にあった。 僕へのプレゼントを買いに行ったせいで。