なんだったんだろう…。 私は赤い頬を抑え、授業に集中するふりをしながら、さっきの出来事を思い出す。 ――穂香 そう囁いた掠れ気味の声を思い出す。 再び心臓が速まるのを感じた。 横山くんに名前を呼ばれたのは初めてだった。 今までは、名字で『佐々木さん』。 だって、ただのクラスメートだから、私達は。