「平成××年度、神凜高等学校入学式を始めます、まず開会の――」




あのあと、体育館に行くとすぐに拓海の姿が見つけられた。




保護者席の一番前。



カメラをぶら下げたイケメン。




周囲の椅子は2席以上空いている。




これでどうやったら目立たないというのだろうか。




自分の座席から、拓海のほうをチラリと向くと目が合った。




満面の笑みで手を振っている。




私は照れつつ、手を振りかえした。



すぐ前に向き直ったため、どんな反応かだなんて分からないけれど大体想像はついた。



考えたくもないけれど。