そう思ったときだ。
バッと黒い影が私の目の前を通った。
そして、そのまま私の体を支えてくれたのだ。
それは暖かく、優しく、どこかで感じたことのある温もりだった。
「…ぁ…ありがとう、ございます…」
下を向いた姿勢から、そのままお辞儀をした。
私が顔を上げる前に、助けてくれた人が去ってしまったため、男か女かも分からないまま私はその場に立ち尽くしていた。
誰だったんだろう、なんだか知り合いのような…気がしたんだけど。
ボーッとしていると
「ぅわぁっ!」
と楓歌に驚かされた。
「わあっ!び、ビックリした…」
私の声で数人振り向いて冷たい目線を浴びせられた。
まずいまずい…。
「えへへ、ごめんごめん…でもでもさ!あたしたち、同じクラスだよ!!これから一年間、よろしくねっ!」