あたしは直し終えるとかばんを持って教室を出ようとした。

あの男の子とはあいさつをする仲じゃないから。
あたしがあいさつなんかしたら困るんじゃないかとか。
思ったけど。

まぁ、どっちみち人間なんかにあいさつなんてしないけど。

「あ!おい!待てよ。」

また、男の子があたしに触れた。

「触んなっつってんのが聞こえねぇのかよ。」

あたしはそう言って男の子の手を振り払った。

「おまえさー小さい時あいさつしろって言われなかった?」

「言われたけど、何?」

「俺にあいさつしねぇわけ?」

「あんた何?」

「人間だけど。」

「あたしは・・・人間なんかにあいさつは絶対しない。」

そう言い放って階段へ向かった。

男の子は「ふッ。じゃーな。佐々木友梨」


そんな言葉を残して、去っていった。


あたしは1回も振り返らずに学校をあとにした。