「だ・・・れ?」

「佐々木!?」

だれか知らない男の子の声だった。

そのとき、今までされてきたことが走馬灯のように脳をかけめぐった。

その男の子はあたしの肩にそっと手を置いた。
たしかにそっとだった。
でも、あたしにはそれさえも脅迫に見えて仕方なかったんだ。

「やめて!触るんじゃねぇ。」

「・・・ごめ・・・。」

男の子はびっくりしたようにあたしから離れた。

あたしは、教科書や雑誌を拾い集めてメス豚どもの机に戻した。
あたしは、弱い人間。
でもあたしは・・・。

あたしはそれでも生きるんだ。

「お前・・・そのまんまにしとこーとか思わねぇの?」

男の子は驚いたようにそう言った。

「なんで?」

「いや、だってそれ、お前いじめてるやつのもんだよ?傷つけてぇとか思わねぇの?」

一瞬はそう思った。だけど・・・。

「思わない。あたしがやったらあいつ等と同レベルになっちゃう。」

「そっか・・・。」

男の子は一言そう言った。