「・・・。」

『いじめられてたのよ、私。でも負けたくなかった。そしたら唯一信用できる人を見つけて、一回頼ってみたの。そしたらその人、一生懸命私のために頑張ってくれた。あ、この人なら信用できる。この人になら頼れる。そう思って・・・その人は今の私の旦那よ』

いじめは、大人になったはずのこの人まで傷つけた。

一度いじめにあうと、一生忘れる事の出来ない思い出になってしまうのかもしれない。

「そう。」

『学校には行かなくてもいいのかしら?今日はきっと沙希の事で大騒ぎでしょうね』

「行かない。」

『そ・・・そう?』

「あたしは、学校の全員でテキトーに供養するだけなら行かない。沙希さん昨日あたしに謝った。謝らなかったらテキトーに供養してやろうかと思ったけど。沙希さんには負けたわ。今日そちらにお伺いして供養させてもらってもいいですか?」

『え!!佐々木さん!?娘を・・・沙希を恨んでらっしゃらないの?』

「恨みなんてない。沙希さん、いい子でしたよ?優しい子でしたし。」

『うぅ・・・。その言葉・・・私由美ちゃんたちから聞けると思ってたのに!!あの子達ひどいのよ!沙希が佐々木さんをいじめること嫌がってるの薄々感づいてたみたいなの。昨日だって、早退したのに帰ってきたんでしょう?あれ・・・仲良くさせないためらしかったの。沙希は・・・あなたに会えてきっと幸せだったわ?』

沙希のお母さんは・・・泣き崩れてた。

『そうだ。沙希は日記を書いてたみたいなの。自殺をするほどの事だからって旦那も私も見るのを避けてたんだけど・・・もし良かったら見てもらえない?』

「分かりました。今日のお昼頃お伺いします」

沙希のお母さんに住所と電話番号を聞き、11時頃家を出た。