私の反応を見て、クラリス嬢はグレイに告げる。

「ノアさんは、私と二人っきりでお話したいそうよ。少し庭に出てくるわね」
「……本当ですか?ノアさん」

心配そうなグレイに尋ねられて、どうにか頷く。

本当は行きたくないけれど、花の髪飾りを取り戻すためだ。

「大丈夫、ちょっとだけだから」

グレイに言い残し、わたしは嫌な予感を感じながら、クラリス嬢の後ろについて行った。





広間の騒ぎからすこし離れた、バルコニー。
とはいえ、十分な大きさで、人気のないバルコニーの隅で、わたしとクラリス嬢は向かいあった。