いつもは使わない廊下を通り、ついた会場は、とても広く眩しかった。

本当に広い。人が1000人入ってもまだ余裕だろう。
そしてそんな会場が、隅から隅まで磨き上げられ、豪華に飾りたてられている。
テーブルにはお酒や料理が並び、もうすでに大勢の来客が、楽しげに会話をしていた。

時折音楽がかけられ、中央で何組かの男女が踊っている。


「すごい……」

感嘆の声を上げる。

「何か飲みますか?」

「あ、ううん。まだいいわ。それにわたし、あんまりお酒飲めないの」

「そうなんですか」

「ええ。すぐ酔っ払っちゃうのよ。グレイは?」

「普段はあまり飲みませんが……この前伯爵に勧められた時には、ワインを2本飲んでも酔いませんでした」

「ええっ、すごい!」


そのあと、女性でも飲みやすいものがあるというので少し味見してみたりして過ごしていると、声をかけられた。

「舞踏会は楽しんでいるか?」

「……セルジュ様」

この舞踏会の、主催者様だ。