何着も着比べて、いよいよ疲れてきたころ、ようやくぴったりのドレスが見つかった。

ベースが黒のドレスは、所々深い青や、綺麗な水色のコサージュがついている。
チョーカーも水色のレースのついた黒。

リリーさんも、「とってもお似合いです!」と言ってくれた。

本当はわたしの髪の色や瞳の色を考えたら、もっと暖色系のドレスを選んだ方がよかったんだけど、何故か一番気に入ったのがこれだった。
どうしてだろう。

けれどそれは、扉の外で待っていたグレイにも見てもらおうと、グレイを部屋にいれた瞬間に全て理解した。



「ど…っ、どう、かしら」

ドレス姿なんて毎日見せているのに、緊張して声が上ずる。

グレイは、2,3秒、停止した。
そして、静かに俯き、

「……と、ても、お似合いです」

若干声が上ずっていたのは、気のせいではないと思う。

「あ、ありがとう」

なんだか気恥ずかしいやりとりをする。けれど、笑顔を見せてくれなくても、グレイの感情がわかるようになってきた。